以前は「陸の孤島」と言われた港区の麻布十番も2000年に「南北線」「大江戸線」が開通したことにより、飛躍的に交通アクセスが良くなり、訪れる人も増えて「住みたい街ランキング」の上位にランクされるようになりました。
麻布十番はなんといってもさまざまな商店が立ち並ぶ「麻布十番商店街」が人気ですが、そのメインストリートから少し奥に入ったところに「パティオ十番」というオープンスペースがあります。
(ちなみに「パティオ」とはスペイン語で「中庭」という意味だそうです)
麻布十番商店街は東京都のモデル商店街の指定を受け、1986年にそれまでは広かった車道の真ん中に、島のようなスペースがつくられました。そこにはケヤキの木が植えられて、今でも街のなかに緑の大木が大きく生い茂っています。
普段は置かれたベンチでくつろぐ人々の憩いの場となっていますが、毎年8月に行われる「麻布十番納涼まつり」では特設ステージが設置されてたいへんな賑わいになります。
そのパティオ十番の片隅に1989年の2月、小さな女の子の像が置かれました。像の名前は「きみちゃん」です。野口雨情の童謡「赤い靴」のモデルになった少女です。「赤い靴」は皆さんよくご存じだと思いますので割愛しますが、歌のなかでは女の子は横浜から汽船に乗っていってしまったとされています。
でも、実際には病のため日本を離れることなく、麻布十番にあった孤児院に預けられ、そこで短い生涯を終えたという説があります。その説をもとに麻布十番商店街が母と子の愛の絆のシンボルとなるものをということで、この「きみちゃん」像が出来上がりました。
日本人なら誰もが知っている「赤い靴」のモデルの少女は、この麻布十番でひっそりと享年9歳という短い生涯を閉じました。
多くの人々で賑わう「麻布十番商店街」にも、ちょっと奥に入るとこのような歴史を感じるものがあったりします。
麻布十番商店街を訪れた際には、パテォオ十番と「きみちゃん」像にも足を伸ばしてみてはいかがでしょうか?
龍三郎
ツイート @aozora26242018年6月22日