世にビジネス書と呼ばれる物は星の数ほどあるが、若かりし頃、大変感銘を受けた本があったことを思い出し、この度再度読んでみることにした。
『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』は、1987年に出版され、ベストセラーになった本である。
30年以上前に出版された本が、果たして現代社会に通じるものなのか?なんといってもパソコンもスマホもない時代の本である。
そんな疑問を抱くと同時に当時「息子」の立場で読んだ本を、今度は「父親」の立場になって読んだらどう感じるのか、という興味も沸いてきた。
この本は、カナダで創業者として成功を収めたウォードが、その人生体験から得たものを息子へ伝えるという形式で書かれている。
もし20代の時に父親から30通もの手紙を送られ、いろいろと小煩い事を忠告されていたらどうだっただろうか、と想像すると「お父さんの時代と僕の時代は違う!」と反発したり、「ウザッ!」と無視したり・・だったかもしれない。
30通の手紙には、結婚相手の条件のようなものもあり、経営者というよりも父親としての顔が出るものもあるが、以下が主なテーマである。
・投資や買収に関するもの
・効率的管理手法や判断の仕方といった実用書的なもの
・経営不振や社員の解雇といった場面でのもの
・幸福とは何か?交友関係はどうあるべきか?といった生き方に関するもの
20代で読んだときに一番響いたものは何だったか思い出してみると
「おそらく常識が実業界の戦いに携えていくための最良の武器だろう」この一節だ。
よく「常識を打ち破れ!」とする人がいるが、ウォードが言う「常識」とはそういうものではないだろう。
ビジネスマンは、時に判断を求められる。その際の判断尺度として、最も有効なものを「常識」としているのだ。
これは、「絶対的真理」だと50代になった今でも共感できる。
ビジネスにおける「常識」を磨くには、自分の属する業界のこと、商品知識、顧客のこと、こういった様々な情報を手に入れるしかない。
そして、ウォードはこう続ける。
「もし君が他人の経験から学ぶことができるのなら、その有利さを生かして、さまざまな事態の扱い方について、経験者が書き記したものを読むといい」
「ただ読書のおかげで、一生を十回も経験したような気がする」
「そして本を一冊読むたびに正しい方向に一歩前進するのである」
30年後に再読して感じたことは?
「夢を見るがいい 試すがいい 失敗するがいい 成功するがいい」
という最初の手紙の言葉と、
「礼儀正しさにまさる攻撃力はない」
という第15通目の手紙の言葉、今の自分に響いたのはこの言葉である。
全ての若者に伝えたいと思った。
30代で企業に属し頑張っている方、また起業を目指している方にも、本書に一度目を通されることをお薦めしたい。
ツイート @aozora26242019年8月21日